猿若祭二月大歌舞伎は中村屋祭り

江島生島のパンフレット
人情噺文七元結

二月の歌舞伎座夜の部の楽しみは玉様の「阿古屋」でしたが、もう一つは中村屋の役者さんたちの活躍でした。

まずは大奥を揺るがした大事件を題材にした「江島生島」。島流しにあった元歌舞伎役者・生島新五郎は恋しい江島の面影を今なお求めていた。そこに江島に似た島の娘を追いかけてゆくが。。。という物語です。

前半は大奥の江島、後半は島の娘を七之助が演じ分けるところが見どころです。
ここ数年、女形の大役を次々と演じている七之助君。玉様をはじめとする先輩方に教えていただき、ますます大きくなってきたような気がします。

人情噺文七元結

父、18代勘三郎が当たり役としていた左官の長兵衛を勘九郎が、その女房のお兼を七之助が、娘のお久は勘太郎、手代の文七は鶴松。まさに「中村屋祭り」です。

先ほどの江島とはがらりと変わり、生活苦溢れる左官屋のおかみさんを七之助がコミカルに演じます。頼りない夫・長兵衛を女形はどこに行ったのかと思うほど地声で怒鳴り、観客を爆笑させます。

歌舞伎のポスター
娘のお久は、両親の窮状を見かねて吉原に身を売ろうとするけなげな娘。勘太郎君のわざと「棒読み」しているようなセリフ回しが、娘の一途さを表しているようでした。

だいぶ背が大きくなってきて、すっかり少年から青年に近づいた様子でした。声は今は過渡期だと思いますが、あと1,2年で大人の声になるでしょう。

「中村屋の三男」と勘三郎に言われた鶴松は、生真面目だけれど少々抜けている手代・文七をていねいに演じているようでした。

勘九郎君のこと

そして勘九郎。元々コミカルな役は合っていると思っていましたが、年齢を重ねてますますせりふ回しや見せ方が上手くなったような気がします。そして何よりも父勘三郎にますます似てきました。勘三郎が今でも生きていたら、和泉屋清兵衛か鳶頭伊兵衛で共演してほしかったですね。

1987年「門出二人桃太郎」で、七之助君と花道を歩いて出てきた時から見ています。現在の勘太郎君、長三郎君も初舞台から見ています。歌舞伎のシステムにまんまと、そして気持ちよく乗せられていますので、今後も応援し続けるでしょう。ガンバレ!

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