トラベルトラブル⑯ドイツの工事通行止め

ドイツのアウトバーン

ドイツのアウトバーン(高速道路)は1932年にボン-ケルン間が開通しました。翌年1933年に今後のモータリゼーションを確信したヒトラーが政権に就くと、第一次大戦後の失業者対策も兼ねて更なる建設計画を進めました。今では「ヒトラーがした、唯一の良いこと」と評価されています。

アウトバーンは非常時には滑走路にも転用できるように設計されている場所が多くあるそうです。しかしこれはドイツだけの話ではなく、各国で同様の目的の場所が見られます。一方日本の高速道路を走っていても、滑走路に転用できそうな場所がないことに気付きます。

制限速度がない?

ドイツのアウトバーンを走っていると、バスの横をすごい速さで「ブ~~~ン」と抜いていく車をみかけることがあります。ツアーのお客様が「制限速度がないって本当なんですね」と感心しています。

これはある意味本当で、ある意味間違っています。現在の総延長13000kmのアウトバーンのうち、約40%の区間には制限速度があるからです。また、ツアーで乗る大型観光バスは時速100km(最高130km)、トラックなどの大型車も同様の制限があると、ドライバーさんに教えていただきました。また、近年では温暖化対策として、制限速度を130kmにするという案が検討されているそうです。

道路工事に遭いました

ある時、アウトバーンを走っていると道路工事に遭いました。空いている日だったのか、私たちのバスの前には10台くらいの車しかいませんでした。

車体が高いので、工事の様子がバスからよく見えました。以前に投稿した中国の道路工事と違い、確かに1車線は工事をしているのです。しかしながら、2車線目を「安全地帯として封鎖」はわかるのですが、3車線目は何もしていないうえ、どう見ても通れる状態なのです。なぜ全面通行止めにしているのか、理解に苦しむ状態でした。

10分経っても、15分経っても、工事を中断して車を通そうという気配がありません。周りの車のドライバーが車から下りて、タバコを吸ったり、体操をしている様子が見えました。

工事を突破!

私達は、何かすごく急いでいたというわけではありませんでしたが、高齢のお客様もいたので、トイレの心配をしなければなりませんでした。ヨーロッパの大型バスにはたいていトイレは付いていますが、決して使いやすいものではありません。

そこでドライバーさんにお願いして、「帰国便に乗れなくなる」と言ってきてもらいました。するとあっという間に、3車線目が通れるようになったのです。私たちの目の前の車がゆっくり動き出すと、バスのお客様から拍手が沸き上がりました。皆さん、工事の人たちに向かって笑顔で手を振っています。工事の人たちも、外国人のツアーバスが手を振っているので、笑顔を見せてくれました。

咄嗟に出た「嘘も方便」でしたが、無事に通れて良かったです。それにしてもなぜ、全面通行止めだったのでしょうか。そうするようにという「規則」だったのでしょうか。規則を守るドイツ人らしい話だったのでしょうか?

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