猿之助の復帰、どう見る?

素晴らしい役者です

市川猿之助の歌舞伎ポスター
昨年1月に市川猿之助の歌舞伎「義経千本桜」を観た感想を「猿之助の身体能力とその心」というタイトルで投稿しました。

初めて歌舞伎を観た時から仁左衛門様と玉三郎様のファンになり、他に勘九郎ちゃん(お父さんの方)と八十助さん(後の三津五郎)は好きでしたが、いわゆる「スーパー歌舞伎」「猿之助」に興味が湧きませんでした。

「義経千本桜」は友人が見たいというので、1度くらい観てみてみても良いかなと思い、お付き合いで行きましたが、身体能力の高さや表現の繊細さに感心しました。團十郎白猿の襲名披露公演では、助六の通人里暁として会場を沸かせたのも記憶に新しいところでした。いつかまた機会を作って観に行きたいと思わせるに充分な魅力がありました。

ところが。。。事件が

ところがあの事件です。ご両親が亡くなるにあたり、どんな形であっても手を貸してしまったことは大変残念です。裁判はもちろんこの点を重点に進んでいるようです。

市川猿之助襲名披露記者会見
本人は「歌舞伎しかない。再び舞台に立ちたい」と裁判で語ったと言うことです。事件から時間が経つにつれて、自身が起こした事の重大さを認識をすると共に、歌舞伎をしない生活を数か月経て、改めて自分にとっての歌舞伎の大きさをヒシヒシと感じたのでしょう。

「客を呼べる役者」の一人だっただけに、ファンも多くいることでしょうし、時期を見て松竹も動くかもしれませんね。その時は、今や歌舞伎以外で見ることのなくなった中車さんも最大限の協力をすることでしょう。

私は行かないと思います

「多様性の時代」ですと言っても、「ゲイ」という性的嗜好を有名人が明らかにすることはまだまだハードルがありますね。特に年配者のファンが多い歌舞伎役者にとっては、死活問題なのでしょうか?

私は、その人の「芸」を見に行くのであって、まったく気にはなりません。玉三郎様だって(公表しないだけで)そうでしょうが、そのために玉三郎様の芸の価値が下がるわけではありません。今回の猿之助事件で、かつてセクハラで訴えられそうになった過去が再燃しているようにも思えます。本公演からの引退を口にしたのも、体力ではなく猿之助事件の影響だとも言われていますね。
市川猿之助奮闘歌舞伎のポスター

猿之助がゲイだと一時的な話題になったとしても、彼の芸の力、役者としての魅力は変わらないはずです。それで離れていくファンは本当のファンではないですね。彼は自分がゲイだということを恥じていて、ゲイである自分を肯定できないのでしょうか?

ゲイというだけでなく「セクハラ」「パワハラ」報道がされています。週刊誌を見ていないので詳細は判りませんが、歌舞伎界の内輪のノリだったとしても、被害者にとっては苦痛であり、トラウマになりますね。この点も彼の舞台復帰には大きな足かせになるのでしょうか。

私は「役者・市川猿之助」がどんな人間であろうと、彼の芸を評価しますが、殺人に対してはやはりこだわりを持ってしまいます。辛くて死にたいなら、自分だけが静かに死ぬべきだったと思うからです。両親を巻き込んだにもかかわらず、自分だけが生き残ってしまった宿命を背負って舞台に立つ日が来るかもしれません。でも、私は観に行かないでしょう。

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