ステキなお客様⑦折り紙先生

豪華客船の旅で

クルーズ船の写真
クルーズ船デビューは添乗の仕事としてでした。豪華客船の旅は気持ちが華やかになり、毎回楽しみです。

何度かクルーズを体験するうちに、プライベートでも行くくらい好きになりました。部屋に荷物を置いたまま、ずっと乗っていられるので、通常のツアーのようにひんぱんに荷造りする必要がありません。また、同じスタッフと何度も顔を合わせるので、すっかり仲良しになれるのも嬉しいポイントです。

最近は日本発着のクルーズも盛んですが、私は外国で乗る船の方が好きです。日本発着では、周りのお客様が日本人ばかりなので、外国をクルーズしている気分になれません。

ツアーでご案内しているお客様にも、早く船に慣れていただき、少しでも楽しんでいただけるよう、一生懸命アドバイスをしています。しかしながら、ずっと添乗員の後ろを付いているだけの人は本当には楽しくないでしょう。船を楽しめる人は、自分から楽しもうという人です。

お客様が先生に!!

折り紙を折る女性のイラスト
あるクルーズ船で、「Paper craft」というイベントがありました。紙を使って何かを作ることはわかったので、言葉がわからなくても楽しめると思い、お客様にお勧めしました。

クルーズ船でよくある、タオル折りも、日本の方はたいへん上手です。タオル折りについては以前の
をぜひご覧ください。

ペーパークラフトをお勧めしましたが、用事ができて20分位遅れて会場に行ってみると、驚愕の風景が広がっていました。

私のお客様がステージの上に上がって、日本語で折り紙を折っていたのです。同じツアーの方に聞いてみたところ、「教えている人が要領が悪くて、我慢ができなくなったみたいよ」と教えてくれました。
折り紙のイラスト

確かに、クルーズ船スタッフの折り紙の先生と、日本人のフツーの人なら、同レベルか、日本人の方がレベルが上の確率が高いでしょう。ステージ上で苦笑いしているスタッフは気の毒でしたが、全部日本語なのにイベント参加者は一緒に折り紙を折っていました。

出来上がった作品を持って、皆さん嬉しそうに記念撮影をしています。即席先生が「皆できたね?ありがとう!」と手を振って言うと、参加者も「アリガトー」と大合唱し拍手をしています。

ステージから下りてきたお客様に「お疲れさまでした」と声をかけたところ、「あ~!楽しかった。スッキリしたぁ。」と大満足の様子でした。

私は、スタッフのところに行き「ごめんね」と謝りました。私のお客様が楽しかった分、立場がなかったであろうことに同情しました。ありがたいことに、スタッフも皆さんが喜んでいたので、気にしないで良いと言ってくれました。

言葉だけではない

このお客様を見て、改めて言葉だけではないことを実感しました。何に対しても臆せず、とにかく楽しむという姿勢に頭が下がりました。このお客様を見習って、そのツアーの皆様は片言の英語と身振り手振り、そして笑顔で積極的にクルーズを満喫していました。後半には
「ホント、添乗員さんの言った通り楽しい」と、最高の言葉をいただきました。

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