とんでもお客様②普通のスーパーに行きたい

添乗中のおもしろかったこと、感動したこと、ビックリした話を時折友人たちにしていました。面白いからブログにも書いたら?と提案されました。そこで今後は「とんでもお客様」と「ステキなお客様」シリーズとして記事をアップしていこうと思います。

魅力的な現地のスーパー

海外のスーパーのイラスト
いつの頃から、海外旅行先でも現地のスーパーに行くことが当たり前のようになりました。

ホテルの近くにあれば、夕食後に案内したりもできます。現地の野菜を見たり、お土産に良さそうなお菓子を探したり、楽しみな時間ですね。

日本人の質問⑳どれが美味しいですか?という投稿でもご紹介したように、すべての物の味について質問されることは閉口しますが、私にとっても楽しい時間です。

電話をする女性のイラスト
とにかくスーパー

ある時、ツアーの参加者名簿に、「現地でスーパーに連れて行ってほしい」というメッセージのあるお客様がいました。行程の中にウィーン観光が予定されていましたので、無理なくスーパーにご案内することはできました。

会社でのツアー前の打ち合わせでは、出発前の最終案内を兼ねて、お客様に電話をします。そのお客様にももちろん電話をかけました。私が添乗員だとわかったとたん、こちらの話は一切聞かず、「スーパーに連れて行ってね。お土産屋じゃなくて普通のスーパーよ」とまくしたててきました。

ウィーンの中心部にあるスーパーに案内できること、普通のスーパーであることを伝えて、安心していただくように話をしました。私の話もなんとか聞いてはいただいたようですが、とにかく「普通のスーパー」を連呼されながら電話は終わりました。

成田空港での受付の時も、後ろに何人も並んで待っているのに、「普通のスーパーお願いね~」を10回ぐらい言ってきました。ツアー中も「ウィーンですよね。普通のスーパー。忘れないでね」と、毎日毎日言われました。「わかっていますよ~」と笑顔でお伝えしました。私の中では、その方のあだ名が「スーパー女史」になっていました。

スーパーの入口で

苦笑いする人のイラスト
ウィーンの観光の合間に、町の中心部の地下にある「普通のスーパー」にツアーメンバーの皆様をお連れしました。いよいよスーパー女史の待ちに待った時間です。

では解散します。○○時○○分までに歌劇場前にご集合くださ~い。」と言う私の声が終わらないうちに、ほとんどの方がスーパーの中に吸い込まれていきました。

ふと見ると「スーパー女史」がスーパーの入口に立っていました。「お時間が勿体ないですよ。どうぞお買い物を楽しんで下さいね!」と促してみましたが、ボーっとした様子です。

次の瞬間、私の想像力をはるかに超えた質問が聞こえてきました。
「添乗員さん、お土産になりそうな民芸品はどこにあるかしら?」と。
あれだけ「普通のスーパー」を連呼した人の言葉でしょうか?

私は呆気に取られてしまいました。「あの~、○○様(スーパー女史は都内在住)の近所の普通のスーパーにも民芸品は売っていないですよね?普通のスーパーに行きたいというお話でしたよね?」

怒りで言葉がきつくなる前に、私はその場から離れました。心の中では「知らんがな!」となぜか関西弁で叫んでいました。

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