セントバーナード犬

セントバーナード犬の切手
スイスと言えばこの犬 

「アルプス少女のハイジ」にもセントバーナード犬は出てきますね。

スイスと言えばこの犬をイメージする方も多いことでしょう。ローマ時代は軍用犬としても活躍していたようです。大きな体で雪や寒さをものともしない強い犬です。

この犬が私たちにとってスイスのイメージそのものになったのには、ハイジ以外にも次のような理由があるからです。

1000年も前から

スイスとイタリアの国境のサン・ベルナール峠に、修道院経営の庇護の家「ホスピス」が造られたのは9世紀頃でした。キリストの愛の灯をかかげ、峠を越える旅人たちに温かいスープを与え、必要があれば一夜のベッドも貸していたのでした。そこでは犬たちは主に、荷物運びを役目として飼われていたようです。

11世紀に入ると、ホスピスを主催していたベネディクト会の修道士たちが、大型犬を遭難者救出や雪山のパトロールに使うことを思いつきました。嗅覚に優れ、寒さに強い特性が生かされることになりました。

吹雪の夜や雪崩の後、犬はその首に酒を詰めた樽をくくりつけ、峠のあちらこちらを巡り歩きました。樽の中の酒は修道院で作られたもので、倒れている人の気付け薬になり、傷を負った人の消毒液になり、凍えた人の体を温めることもできるのです。

犬は雪に埋もれた人のにおいに気付くと、雪を掻きだし、走って行って修道士を連れて戻ってくるのでした。

セントバーナードが描かれた列車
聖ベルナールの峠

後にホスピスには犬を数頭づつ置くことがスイスの山の伝統となりました。
サンベルナール峠の名前から、この救助犬が「セントバーナード」(サン・ベルナールの英語の発音)と呼ばれるようになりました。

セントバーナード犬が救った命は、今までに2000人を超すといわれています。
なかでも有名なのは名犬バリーです。任務の期間中に40人もの命を救いました。

もっとも有名なのは、ある少年を救った話です。洞窟で凍死寸前の少年を見つけたバリーは、覆いかぶさって自分の体で少年を温めた後、自分の背中に少年を乗せてホスピスまで運んだというものです。

有名なバリーは忠犬ハチ公同様、はく製になり、首都ベルンの自然史博物館で見ることができます。

スイス・イタリアの国境の鉄道
救助犬の現在

近代に入り、鉄道やトンネルで峠を越えることができるようになったことや、救助の仕方が多様化し、最新技術も使うようになったことで、セントバーナードを救助犬としているところはないそうです。

それでも時折セントバーナード犬を見かけるのは、観光客用のマスコットとして峠のドライブインなどで飼われているからのです。

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