仁左衛門の楽屋入りと連獅子

連獅子のポスター
仁左衛門様の楽屋入りに遭遇

長年歌舞伎を見ていますが、わざわざ入り待ちや出待ちをしたことがありません。

この日、歌舞伎座の横を歩いていたら、黒塗りの車から下りてきた片岡仁左衛門様に遭遇しました。
「愛する」仁左衛門様に嫌われたくない&恐れ多くて声はかけられませんでした。
スリムで品の良いお姿。これから荒々しい連獅子を舞うとは。どうか無事に終わりますように!

歌舞伎座としても、コロナ以降の入り待ち出待ちを「遠慮してください」というスタンスです。

数年前に京都の顔見世初日に、歩いて出勤してくる勘九郎さんと孝太郎さんに会ったことはありました。あの時の平常心と違い、仁左衛門様との遭遇は静かに大興奮でした。

祈るような気持ちで連獅子を

歌舞伎座
17世勘三郎が76歳で踊った記録を更新する、77歳での「連獅子」でした。

最初にこの演目のことを知った時の感想は「大丈夫なの?」と少し失礼なものでした。
どんなに好きでも77歳は77歳です。信頼はしていても期待よりも心配が上回ってしまいました。

連獅子
前回の連獅子
前半の舞踊の部分では、若い千之助君のバネのような舞を受けて、繊細かつおおらかな舞を披露してくれました。
視線に細やかな感情が乗っていて、表情から目が離せませんでした。

そして毛振り

心配していたこと。。。さすがにジャンプして台に上がることはしませんでした。
毛振りの始めには少しよろけたのかしら?と思う場面もありました。私の勘違いだったら良いのですが。。。

千之助君のキレッキレの毛振りとは対照的に、最初は緩やかに、だんだん大きく優雅に毛が振られていき、私の感情も大きく揺さぶられていきました。

何とも言えぬ感動の涙が溢れてきました。
仁左衛門様の長い歌舞伎人生の最晩年の始まりの時。今の一瞬一瞬が永遠に続きますようにと願わずにはいられませんでした。

万雷の拍手のうちに緞帳がおり、私は「ふぅ~」っと息を吹き返しました。
失礼ながら、心配で息を詰めていたようでした。

これが最後の連獅子になるでしょうか?
千穐楽まで無事にお勤めになれますように。

💬 毎回のことですが、ただのミーハーの感想でした。

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