細かすぎる本
多くのガイドブックや解説本を持っていますが、これほど細かいものはないと思うのが、
「DORLING KINDERSLEY」社(DK)の「EYEWITNESS TRAVEL GUIDE」です。
英語版はスペインとフランス版を持っています。
日本語版では同朋舎出版の「地球・街角ガイド タビト」シリーズとして出版されています。こちらは、ウィーン、ヴェネツィア&ヴェネト、プロヴァンス版の3冊を持っています。
スペイン版を例にとると、総ページ数は600ぺージ以上あります。このためかなりの重さなので、持ち運びするには不便ですが、その不便さを補って余りあるのが、内容の細かさです。
小さな町の大聖堂も
すべての街とは言いませんが、かなり小さな町の情報もほんの数行でも載っているのがこの本です。2枚目の写真は目次の一覧です。目次だけで30ページもあるのです。
ページをめくると、街の名前の下に人口が載っています。数万人の街はもちろん、観光で訪れる町なら数千人、数百人でも情報が載っているのです。
フランスでロワール地方からモンサンミッシェルに行く時に、ル・マンという町の近くを通ります。ル・マンと言えば24時間耐久レースが行われることで有名ですね。通常は高速道路から「自動車レースで有名なル・マンの近くを走っています」と言えば終わるのです。
しかし一度だけ、ル・マンの街の大聖堂を観光するツアーに行ったことがあります。普通のガイドブックにはルマンの大聖堂に関する記述はありませんでした。当時はまだネット検索が一般的ではなかったので、情報を得るのに大変苦労しました。今ならWikipediaでかなりの情報を得ることができますね。
この本のフランス版では、ル・マンについての記述が半ページですがありました。まずは自動車産業についての記述になっています。その後にほんの少しですが大聖堂についての情報がありました。結局は詳しいものではありませんでしたが、ステンドグラスが12世紀のもので大変古いことが判りました。
ということは、大聖堂は11世紀以前から建てられたものだということが推測できます。実際に現地に行くとロマネスク様式の特徴とゴシック様式の特徴が混在した建物でした。私がした説明は「10世紀ごろから15世紀ごろにかけて建設されたので2つの様式が混ざり合った大聖堂です。内部のステンドグラスは12世紀のもので、フランス国内でも大変古いもののひとつです」。我ながら、少ない情報でもっともらしい解説ができました。
大聖堂内の売店で、解説書を購入しましたが、大きな間違いはなかったようです。バルセロナのサグラダ・ファミリアが百年以上かけて建設中ですが、昔は数百年かけて建築するのが当たり前だったのです。ミラノの大聖堂ドゥ・オーモも建設に500年かかっています。
英語版の利点とは
英語版での利点についてご紹介します。ツアーでは現地でガイドが付いて説明してくれます。特にイタリアやスペインでは、ガイドなしの観光は禁止されています。バルセロナやマドリッドなどの大きな町では日本人のガイドさんが案内をしてくれることがほとんどです。しかし地方の小さな町では英語ガイドが一般的です。
私は添乗員としての英語力はあるつもりですが、初めて行く街の案内を何の前情報もなく「しっかり」通訳できるかということに関しては不安を感じます。その不安を解消するために英語の解説を前もって読んでおくことは大きな助けになるのです。
その土地独特の建築や、その町の偉人など、知らないと変な意味にとってしまうことも考えられます。英語の解説をしっかり理解したうえで、かみ砕いて日本の方にわかりやすい言葉で伝えるのが仕事なのです。
4枚目の写真はスペインのクエンカという町のページの一部です。時折観光コースに含まれる街で、崖の縁に建つ「宙づりの家」と呼ばれる建物で有名です。前もって図解でと英語の解説を見ておいたので、現地で大きく困ることがなく案内ができました。
何でもググって情報が得られる前から添乗員をやっていますので、色々探して、手に入れてきました。我ながら涙ぐましいです。
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