隣の大国さん③並んでください

新しいサービスエリアで

あるツアーに行った時のことです。現地ガイド氏が「添乗員さんラッキーだね。今日は開通したばかりの高速道路を走りますよ」」と言ってきました。お客様も興味津々で、喜んでくれました。

途中のサービスエリアで休憩タイムとなりました。女性陣はトイレに並んで順番を待っていました。一列に並び、開いたドアの個室に入るという、日本では当たり前すぎる方法で利用していたのですが。。。

後から来た団体ツアーらしき女性たちが、私たちの列の横を全く躊躇なく通り過ぎて、それぞれのドアの前に並んでしまったのです。そのあまりにも自然な様子にあ然としました。「並んでいる人がいるけど、いいかしら?」的な迷いや戸惑いが一切なく、私たちの横を平気で通り過ぎて行ったのです。

並ばないことで有名

私がカナダで現地ガイドとして生活していた時、ガイド仲間と困っていたのが「並ばないので有名な国」の人々でした。時間で動く観光をしている時に、バイキングレストランで時間がかち合うと予定通りに終われないのではと、ドキドキしたものです。

皆、順序良く並んでバイキングを取っているのに、この国の人と、もう一つのヨーロッパのある国の人は並ばないのです。どんどん割り込んできて、前を塞ぎます。この国の人々は単なる「ルール無視」に見えましたが、ヨーロッパのある国の人々は、「アジア人を下に見ている」という感じで不愉快でした。

若い女性まで

この国でロープウェイに乗る観光をした時のことです。グループの先頭に現地ガイドさん、最後尾に添乗員の私が並んでいました。数秒横を向いて視線を前に戻したら、2人の若い女性が私の前にいました。

次のロープウェイに乗れるかどうかという位置だったので、私としては一人でも入ってほしくはなかったのです。次のロープウェイを逃すと20分後までさらに待たなければなりません。

私は女性たちに英語で私の後ろに行くように話しかけました。英語は通じないのか無反応です。それでも、私は指で後ろを指さしたのですから、自分たちがしたことを考えれば、言おうとしていることは解るはずです。数回繰り返してみましたが、まったく無視でした。

この時、その国で観光地内専用の周遊バスに乗るという観光をした時のことを思い出しました。長い列に並び、朝のラッシュ並の混雑の中どうにかバスに乗れたと思ったら、私のバッグを思い切り引っ張り、引きずり降ろそうとしている人がいました。見ると年配の女性でした。あまりのことに私は怖くなり、必死にバスの手すりにつかまって耐えたのでした。

このような経験を思い出し、さすがに腹が立ってきました。私は意を決して、二人の洋服の袖を「やさしく」掴み、私の後ろに移動してもらいました。言葉やジェスチャーでわからないなら仕方がありません。すると二人は驚くどころか、薄笑いを浮かべているのです。本当に怖かったです。

現地ガイドさんに聞いてみたことがあります。「どうして並ばないの?」と。すると素晴らしい答えが返ってきました。「添乗員さん、並んでいたらあなたは10億番目だよ」だそうです。

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