ひとり旅・ホテル側のリスクとは?

できたら避けたい?

旅のイメージイラスト
ひとり旅をすることに抵抗がない時代になりましたね。私が添乗するツアーにもひとり参加の方はよくいらっしゃいますし、ひとり参加限定ツアーも人気です。

ひとり旅、特に女性のひとり旅は、以前なら「傷心旅行」「自殺願望」などトラブルのイメージがあったようです。和風の旅館などでは、今でも1人からの受付ができない所もあります。

ツアーで利用するホテルでも、ひとり参加は不可というホテルがありましたし、旅行会社が主催するツアーなら「今回は特別に」受け入れますというホテルもあります。

旅館の食事の写真
ホテルのリスクとは?

私が添乗で行った「ひとり参加限定ツアー」では、ビジネスホテルを利用するもの以外は、通常の2名から受け付けるツアーより当然割高になります。通常の2泊3日ツアーが15万円だとしたら、ひとり参加限定ツアーは20万円のツアー料金になります。ひとりで客室を1室利用する分、割高になるからです。

例を挙げると、ある旅館で2人で5万円のところ、ひとり一部屋で4万円でした。そのホテルでの食事の後に、スタッフの方と話をする時間がありましたが、その中で私が想像できなかった、ひとり旅のリスクを知りました。宿泊客側からすれば「余分に払った」「割高だった」と言いたいですが、そのホテルのスタッフの話だと、もっと違う理由があったのです。
乾杯をしている写真

① 部屋代はもらえても食事代はもらえない
② ひとりだと、追加の酒類での収入が多く見込めない
「そういうことなんですね」とビックリしました。長い間旅行業界にいますが、そこの部分は見落としていました。

確かに、ひとりで来たら食事も1人分です。また、よほど大酒飲みでもないかぎり、数人で宿泊した時ほどお酒は飲みませんよね。ひとり参加ツアーのお客様を見ていても、食事をしたらさっさと部屋に帰っていく人の方が多いです。ホテル、旅館側では、基本の宿泊代の他に、追加で使っていただけるお金が有難いのです。

マニュアルにもありました

この話を聞いて、以前に見せてもらったクルーズ船のマニュアルを思い出しました。クルーズの場合、オールインクルーシブがほとんどですが、アルコールドリンクは別料金というのが基本です。
ワインのメ―ジ写真
仲良くなったクルーズ船のスタッフと色々話をしていた時に、レストランのマニュアルを見せてくれたことがありました。200ページはあろうかというずっしりとしたマニュアルでした。その中で必ず「必ずドリンク、特にワインの注文を勧める」という一説がありました。クルーズ船で追加の利益収入を得るにはドリンク注文、特に高額なワインやシャンパンの注文が効果的です。

日本の旅館の話を聞いていた時に、この時のことを思い出しました。旅館のスタッフに話すと「その通りです」とのこと。今やひとり旅だから受け入れないという宿泊施設はだいぶ少なくなりましたが、施設側の都合が食事、ドリンク面にあるということを改めて知りました。施設によっても違いはあると思いますが、興味深い話でした。

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