トラベルトラブル⑳友達はニッサンさん

 観光地の詐欺オジサン

ピカデリーサーカス
イギリスのロンドンで観光客が一番多いのは大英博物館とピカデリーサーカスと呼ばれる繁華街でしょう。近くにはリージェントストリートと呼ばれるショッピング通りがありますし、多くの劇場へも徒歩圏内です。

観光客のいるところには必ず観光客を狙う「良からぬヤカラ」がいるものです。今回紹介したいのは、ピカデリーサーカスにいた男性の話です。

ツアー添乗中、少しのフリータイムがあったので観光客に混じって道行く人を眺めていました。すると70歳位の男性が「ジャパニーズ?」と声をかけてきました。私が「イエス」と答えると、「一緒に写真を撮ろうよ、私は日本と日本人が大好き、日本人の友達もたくさんいるよ」と言って、厚みのあるミニアルバムを見せてきました。

外国人との写真のイラスト
そこには多くに被害者が

私は「ふ~ん」とアルバムに目を落としました。私には写真に写っている人が「トモダチ」ではなく「被害者」だということがすぐにわかりました。

彼の手口としては、仲良く一緒に写真を撮った後にお金を要求するというものです。写真に写っている人は、被害者であるだけでなく、いまだにオトリとして写真が使われているのです。

そして、次に男性が発した言葉に大笑いしてしまいました。私が聞いてもいないのに「トモダチ」の名前を言い出したのです。写真を1枚1枚見せながら「ホンダさん、トヨタさん、スズキさん、ニッサンさん」「ん?」3番目まではよかったのですが「ニッサンさん」はないですよね。全部イギリスにも代理店のある自動車会社の名前ですし。。。

外国人との写真のイラスト
今はどうしているでしょうか?

私はあまりにも可笑しくなり、笑いながら「ニッサンさんはどこに住んでいるの?」と聞いてみました。「トウキョー」と誰でも言える地名で更に私を笑わせてくれました。

写真の代価はきっと高額ではなく、しつこく言えば日本人なら面倒くさくなって払ってしまう金額なのではないでしょうか?わざわざ詐欺被害を訴える時間もないので、「そんなこともあったな、失敗したな」で帰って行ったのでしょう。

最後に見かけた時もピカデリーサーカスでウロウロしていました。コロナ禍でしばらくロンドンにも行けていませんが、観光客がいなくなってしまった期間に彼はどうしていたのでしょうか?今でも日本人に「ニッサンさん」の写真を見せているのでしょうか?

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