添乗員になるまで⑥いよいよ添乗デビュー

 いよいよ添乗デビュー

バス旅行のイメージイラスト
1月1日が私のデビュー日でしたから、忘れたことはありません。日帰りバスツアーでした。最近では日帰りバスツアーにバスガイドが乗務しないことが多くなりましたが、この時はバスガイドさんが乗務していました。

研修は受けたものの、いざ本番となったら実際は何もわからない状態の私でした。バスガイドさんに頼るしかない私は、朝一番に「今日がデビューです」「しっかり頼らせていただきます」と挨拶しました。素直さが良かったのか?1日を通して、とにかく色々とサポートしていただきました。

今思い出しても、あっという間の1日でしたが、無事に終わることができました。最後のお客様をお見送りしてから、バスガイドさんにお礼を言いながら、ホッとしたのか涙がこぼれたことはよく覚えています。

当日になって思い出したこと

無我夢中の1日を無事終えることができましたが、当日の朝になって私が思い出したことがありました。実は私は乗り物酔いするのでした。電車は大丈夫ですが、バスも自家用車も大変苦手でした。そのため学校の行事の遠足や修学旅行は楽しみではありましたが、少々気の重いものだったのです。自家用車で出かける時も、家から5分の国道に出るまでに「気持ち悪い~」と言い出す子供でした。

乗り物酔いしている人のイラスト
添乗員デビューする日、いよいよ目の前のバスを見て「そうだ、バスに乗らなければいけないんだ」ということに気がつき、不安になりました。添乗員が乗り物酔いしたのでは、仕事ができません。お客様からも信用されません。

今になって「乗りたくない」とも言えません。死ぬ気で乗りましたが、それ以上に添乗デビューの緊張感が上回りました。1日があっという間に終わり、乗り物酔いする間もありませんでした。

幸い、添乗員になってからはバス酔いをすることはほとんどなくなりました。やはり緊張感に勝る薬はないようです。「ほとんど」ですから、実は2回ほど大変気持ち悪くなったことがあります。お客様の前で粗相をすることはありませんでしたが、大変マズイ状況だったことは間違いありません。

両親は私の車酔いで散々苦労してきたので、いい大人になった私が添乗員として毎日観光バスに乗っていることをしばらくは信じてくれませんでした。

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