添乗員のグチ⑯部屋まわりって必要ですか?

旅館の客室のイラスト
部屋まわりをご存知ですか?

添乗員になって初めて知った言葉のひとつに「部屋まわり」がありました。部屋まわりとは、お客様がホテルの部屋に入ってから、「不備がないですか?」「質問はないですか?」と添乗員が聞いて回ることです。

そこで何かしらの不備や問題があれば、ホテルのスタッフに来てもらって確認してもらったり、必要があれば部屋を変えてもらうこともあります。

添乗員が部屋に伺って確認することで、大きな問題やクレームを未然に防ぐことができるため旅行会社にとって大切な仕事です。確かにその通りなのですが、添乗員になった時から私には疑問でした。

旅館で寛ぐ人のイラスト

気まずい雰囲気に

添乗員になったばかりの時のことです。添乗業務として部屋まわりは「するもの」と思っていたので、各部屋を周って「お困りごとはないですか?」などと聞いて回っていました。

あるご夫婦の部屋ではご主人が着替えている途中で、ステテコ姿でドアを開けてくれました。私は「あっ、スミマセン」と愛想笑いで謝ることになりました。

1人参加の女性の部屋では、ノックに反応がないので困っていたら、トイレの水を流す音が「ジャーっ」としてから、慌ててドアを開けてくれました。きっと部屋に入ってから、我慢していたトイレに入ったのでしょう。「タイミングが悪くてスミマセン」と謝るハメになりました。

女性4人グループの部屋に行くと、すでにおやつタイムでした。「添乗員さん、これ食べなさいよ~」とお菓子を勧められ、お茶まで淹れてくれました。でも、まだ他の部屋に行かなければならないので、ゆっくりしている場合ではないのです。すると「大丈夫よ!自分でフロントに電話すればいいんだから!」と笑っています。
フロントスタッフのイラスト

その通りなんです

「日本なんだから、自分で言えばいいことじゃないの?」と私も思います。海外のホテルならともかく、言葉の通じる日本なら、自分でホテルのスタッフに言ったが早いのです。

添乗員が「部屋まわり」に来るとわかっていても、お客様は自分の部屋が「最後」になるという想像はしていないと思います。ツアーのお客様の部屋が15部屋あったら、1部屋に2分かかるとすれば、最後の部屋に行くまでに30分以上はかかるのです。

早く着替えて大浴場に行きたい、売店にお土産を買いに行きたい、着替えている最中に来たらどうしよう。。。お客様にもいろいろな都合があります。何か要望があれば、自分でフロントに電話するのが一番なのです。

ドアをノックするイラスト
行きついた方法

私が行きついた部屋まわりの方法は、ノック式です。私が部屋をノックし、何か質問や用事があれば開けていただき、問題がなければ内側からノックをし返していただくか、「OKです」と返事をしていただくようにお願いしています。

すると、ほとんどの部屋で時間がかからずに確認ができます。次の部屋にもすぐに行くことができ、15部屋あっても全部の部屋の確認でも10分位で終わります。何か問題がある場合は、他の部屋の確認が終わってから該当の部屋に戻ってゆっくり話を聞きます。

この方法なら、皆様を長い時間待たせることなく、必要な方にもしっかり対応ができます。
皆様「ありがとう、大丈夫よ~」と元気に返事をしていただいたりすることで、何だか楽しんでいる様子も感じます。

高額ツアーで参加者が少なく、全部で4~5部屋のツアーも多く担当しますが、その場合は短い時間でもできる限り全部屋まわります。高級宿なのでまず問題がないうえ、部屋係が部屋でご案内中というタイミングも良くありますが、このようなツアーの場合は、「添乗員が部屋に顔を出す」ことが大事なのです。

あくまでも国内ツアーの場合の話ですが、皆様はどう思いますでしょうか?

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