祝傘寿!仁左衛門様に酔う♡

御浜御殿豊綱卿の仁左衛門
三月大歌舞伎・昼の部

今月も仁左衛門様を拝みに行ってきました。
演目は元禄忠臣蔵より「御浜御殿綱豊卿」。数ある当たり役のひとつである綱豊卿を華麗に演じてくれました。

あらすじは次の通り。御浜御殿は甲府徳川家の下屋敷で、主は後に六代将軍家宣となる徳川綱豊。綱豊の寵愛を受ける中臈お喜世に、今日のお浜遊びを隙見したいと懇願しているのは、義理の兄の赤穂浪士富森助右衛門でした。実は今日の客の中に吉良上野介がいるのです。

綱豊には浪士たちに仇討ちをさせたいという心情がありましたが、浅野家再興の話が持ち上がり、再興と仇討ちは両立できないと困惑していたところでした。綱豊と助右衛門のあいだに、仇討ちを巡って激しい論議が展開します。その夜、上野介が余興の能の装束を着けて舞台へ上がると思い、槍で襲い掛かった助右衛門。しかしそれは綱豊卿その人でした。綱豊は「身のほど知らずの大たわけ、それは天下義人の復讐とは云われぬ、道理が分からぬか」と助右衛門を打ち据えるのでした。

安定の豊綱卿

三月大歌舞伎の演目
歌六の新井勘解由、孝太郎の江島、梅枝のお喜世と盤石の配役。仁左衛門様に対峙する助右衛門は幸四郎。特に後半は浅野家をめぐる綱豊卿と助右衛門の緊迫したせりふの応酬で「真の大義とは何か」を骨太に描きます。

元禄忠臣蔵では、時に膨大なせりふを語るシーンがありますが、覚える大変さだけではなく、せりふ一つづつの意味、その時どきの心情、所作、声の強弱と、役者さんの素晴らしさに感服します。

聡明さと風格、品格を備えた綱豊卿という役にピッタリの仁左衛門様。対する、仇討ちを密かに心に誓う助右衛門の秘めた情熱を幸四郎が熱演しました。

一番上の写真は歌舞伎座にあったポスターを写真に撮ったもので、能の装束で登場する仁左衛門様です。目しか見えないその姿の妖しさに「ズキュ~~~ン」でした。この投稿のタイトルにあるように傘寿・80歳です。
於染久松色読販・神田祭

私は普段からツアー参加者の80歳位の方と数多くご一緒しています。お客様として庇護すべき対象として見ることはあっても、残念ながらドキドキしたりステキ♡と思える方はいません。80歳の仁左衛門様にハートを射抜かれている自分はおかしいのだろうかと、時々自問自答してみます。

答えは「別物だから」です。私にとって仁左衛門様は80歳ではなく、「仁左歳」というカテゴリーを作って考えるべきものとなっています。

今後も永遠に「仁左歳」を素敵に過ごしていただきたいです。来月も玉三郎様との舞台を楽しみにしています。

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