「ヤマトタケル」(隼人版)を観てきました

ヤマトタケルの宙乗り

初めてのスーパー歌舞伎 

今まで数えきれないほど歌舞伎を観てきましたが、「スーパー歌舞伎」は初めてでした。2022年1月の歌舞伎座公演・第3部1幕で猿之助の「義経千本桜-川蓮法眼館の場」は観たことがありましたが、本格的なものは初めてでした。

私は仁左衛門様と玉三郎様のファンなので、猿之助の「義経千本桜」を見た時も、友人からのリクエストでした。今回もその友人がテレビドラマ「大富豪同心」で隼人ファンになり、「一緒に行って」と誘われたので行くことにしました。

ところが、2日前に友人が転んで骨折し入院してしまいました。チケットは私が松竹のサイトからとっていました。キャンセルはもちろんできませんし、リセールするにも日にちが足りず、結局1席分のチケットが完全に無駄になってしまいました。周囲に行けそうな人を探しましたが、行きたくても直前すぎて日程が合わないという人ばかりでした。

入院した友人からは「チケット代は今度払うね」と言われましたが、ケガをして入院している人に申し訳なくて請求はできませんし、「お見舞代でいいですよ。早く元気になって下さいね」と言いました。結局、自分は興味のなかったスーパー歌舞伎に33,000円払って1人で観に行くことになってしまったのでした。

隼人の熱演

ヤマトタケルのポスター
さて、大舞台での主演ですから、当然大熱演でした。私の席はかなり前の中央でしたので、表情の一つ一つがよく見えました。隼人君は高身長で豪華な衣装も見栄えがするのはもちろん、何といってもその目力が魅力のようです。

ダブルキャストの團子君が休演になってしまったというニュースがありました。主役で出ずっぱりのため、かなりの体力が必要ですから、今後も隼人君の頑張りを祈りましょう。

作品全体としては、前半の2役の早変わりや見せ方の工夫が面白かったです。中盤の殺陣も激しく華麗でした。切られ役の役者さんたちが何度もバク転し見せ場を盛り上げていて、その身体能力に感心しました。

隼人君を支える役者さんたちの演技も見どころでした。今回私にとって一番収穫だったのは、中村福之助君でした。従者のタケヒコを演じていましたが、ヤマトタケルが瀕死のシーンでは、ハラハラと涙を流す熱演ぶりでした。兄弟そろっての襲名披露から数年が経ちましたが、成長ぶりがうかがえてうれしかったです。米吉さんは相変わらずステキで、2役を可憐にそして華やかに演じ分けていました。

カーテンコールがありました

ヤマトタケルの主要キャスト
今回初めてスーパー歌舞伎を観て一番びっくりしたことは、カーテンコールがあったことです。幕が下りて会場内のライトが付くのを待っていたら、再び幕が開いたのです。

普通の演劇なら当然のことですが、通常の歌舞伎公演ではカーテンコールはありませんから、新鮮と言えば新鮮でした。この辺りも、新しい客層を取り込もうという、スーパー歌舞伎の特徴なのでしょう。会場ではイヤホンガイドの貸し出しがもちろんありますが、難しい話ではないので、よほどの初心者でなければ、あらすじを読んでおけば充分だと思いました。

スーパー歌舞伎自体は先代の猿之助さんが始めたものですし、現在は「ルパン三世」までが歌舞伎になる時代です。また「超歌舞伎」という名で、獅童さんと共にバーチャルシンガー初音ミクが登場し、客席ではペンライトが振られるそうです。このように新しい客層に見てもらって、すそ野を広げる工夫をたくさんして欲しいものです。

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