トラベルトラブル⑮2便に別れた!

国内線の乗り継ぎで

焦っている女性のイラスト
ある国の大都市から大都市へフライトで移動し、次の飛行機で約30分程の地方都市へ乗り継ぐという行程だった時のことです。ツアーメンバーと次の搭乗ゲートに行ったら突然「最初の便で15人、次の便で14人」と言われました。

フライト便名は全員同じでした。すでに搭乗券も最初の便にチェックインした時点でもらっていました。それなのになぜ2便に分かれるのかと尋ねたところ、機材が小さいから全員一緒に乗れないということでした。

行先の地方都市の空港が小さいため、大きな飛行機で飛べないことは知っていました。確か50人ぐらいは乗れる飛行機でしたから、30人弱の人数が乗れないはずはありませんでした。

仕方がないので

飛行機に乗り込む人々のイラスト
それでも仕方がないので、2便に分かれて出発することをお客様に説明しました。普段より人数が多かったようで、苦肉の策として30分遅れですぐに次の飛行機を出すことになったようでした。

先の便に乗る人を確認したところ、添乗員である私が先の便に乗ることになっていました。後の便に何かあったら困るので「私は次の便に変えて」というと、それだけはすぐにやっていただけました。

先に飛ぶお客様には「小さな空港ですから、ターミナルビルに入って椅子があるところで待っていて下さい」と説明しました。実際に、大変小さな空港で、平屋建てですし、日本で言えば体育館2つ分位の大きさの建物なのです。「迷いようがないから大丈夫ですよ」と、安心して出発していただきました。

空港で再会したら

空港の出迎えのイラスト
私と残りのお客様が2便目のフライトで地方都市の空港に着くと、先に着いていたお客様が手を振って出迎えてくれました。伝えた通り小さな空港だったので、安心できていた様子でした。

気付けば、顔見知りの現地ガイド氏が私のお客様と一緒にいました。「あ、お久しぶりです」と挨拶をしたところ、ガイド氏から面白い話を聞きました。

他のツアーを見送って帰ろうとしたところ、見覚えのあるバッジをつけているお客様が降りてきたのが目に入り、気にして見ていたところ、添乗員らしき人も出迎えの現地ガイドも見当たらないので、「こんにちわ。現地ガイドをしているものですが、添乗員さんは誰ですか?」と聞いてみたそうです。すると私の名前が出てきて、2便に分かれたことを知ったので、しばらく待ってみようと思ったというのです。

手を振る男性のイラスト
話はそれだけではありませんでした。お客様たちが、私が急遽現地スタッフを空港に呼んだと、お客様が勘違いしているというのです。現地ガイド氏がお客様に話しかけた時に、「あ、心配して迎えに来てくださったんですね。さすが添乗員さん、仕事が早い」と口々に言われたというのです。

「違うんだけど、時間があるし、まあいいか!」と思って、一緒に待っていてくれたのでした。あまりの偶然に私は感謝すると同時に可笑しくて仕方がありませんでした。

他の私を知らないガイドさんだったらこんな話にはならなかったでしょう。このガイド氏がもしいなかったとしても、前述したとおり困るような空港ではありません。それでもお客様が勝手に勘違いして、私にもガイド氏にもすごく感謝してくれていました。「役に立てて良かったよ」という言葉と共にバスに手を振って見送ってくれたガイド氏でした。

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