片岡仁左衛門「松浦の太鼓」

吉例顔見世大歌舞伎演目紹介
吉例顔見世大歌舞伎

11月も片岡仁左衛門様を拝んでまいりました♡
吉例顔見世大歌舞伎・夜の部。私のメインはもちろん仁左衛門様の「松浦の太鼓」です。

私は「松浦の太鼓」を見るのは初めてのはずなのに、妙に既視感がありました。不思議に思っていたら、以前、NHKの「古典芸能への招待」で放映されたものを見ていたからでした。

松浦の太鼓

ご存知「仮名手本忠臣蔵」のサイドストーリー的な内容です。主人公は何と、吉良上野介の隣に住む大名・松浦鎮信。

松浦の太鼓の仁左衛門
元々、大石内蔵助と学問を通じた交流があったため、赤穂の臣下たちに同情していました。ところが主君の死から1年経っても、一向に仇討ちが行われないだけでなく、大石内蔵助が遊郭で遊び呆けているなどの噂を耳にし、業を煮やしていたのでした。

ところが、句会の中で赤穂浪士の大高源吾が詠んだという連歌の脇句「明日待たるる その宝船」を知ると、その真の意味を悟ります。

その時、討ち入りの太鼓の音が聞こえてきます。この太鼓の撃ち方が大石を始め、ごく少数の物しか知らない山鹿流の打ち方であると気づきます。

やっと、討ち入りが、仇討ちが果たされたと喜ぶ松浦公の子供のような笑顔が印象的でした。

仁左衛門様の演技

松浦の太鼓のポスター
今回の歌舞伎座は最前列が取れました。1列目なので、細かい目の表情、手指の動きまで克明に見ることができました。

特に、浅野の臣下たちがなかなか仇討ちもせず、情けないと悔しがり、ハラハラと涙を流すシーンでの、仁左衛門様の熱演に心打たれました。

手で頬を抑えたり、たもとを使って涙をぬぐう仕草をしますが、本当に涙が流れているのです。
セリフを言いながら、実際に悔しがり、情けないと言いながら目には涙が溜まっていくのです。

仁左衛門様のこの演技を克明に見ることができ、やはり良い席で見ることができて良かったと思いました。

ちなみに、私が行った日には撮影が入っていました。NHKなのか、シネマ歌舞伎なのかはわかりませんでしたが、楽しみですね。

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