世界のドライバー➈ビールのカタ?

お客様がケガをした

転倒する女性のイラスト
ある国の観光中に、お客様が転んで肘の辺りにケガをしました。本人は「大丈夫です」と言っていたが、夕方ホテルに着いた時に確認したところ腫れてしまっていて、骨折の心配もありました。ホテルの近くに病院があるということでしたので、とりあえず見てもらって、応急処置をした方が良いと思い、診察に行くことにしました。

他のお客様にも事情を説明しました。夕食時間に間に合わないかもしれないこと、日本人の団体に慣れていて日本語のドリンクメニューのあるレストランなので、出来る範囲で対応いただきたいとお願いして出かけました。

幸いケガは骨折ではなく、打ち身のみでした。簡単な応急処置をしていただき、ホテルに戻った時は、夕食開始時間を5分程過ぎていました。「ギリギリ間に合ったかも。。。」と思い、急いでレストランに入った時に、その光景が目に入りました。

ビアーノカタ~?

メニューを見ている客
なんと、ツアーバスのドライバーが30人ものお客様の前に立ち、ドリンク注文をとってくれていたのです。「ビアーノカタ~?レッドワインノカタ~?」と。

確かに、病院に行くことは伝えましたが、残ったお客様のケアまでは当然のことながら頼んでいません。しかし、ツアー後半でお客様とも積極的に交流しようとするドライバーで、ツアー参加者ともすっかり仲良くなっていたので、何だか違和感がありませんでした。

目を丸くしてレストランに入ってきた私を見つけた参加者の皆様が笑っています。「今日は添乗員さん無しでも大丈夫だよ。ドライバーさんが注文とってくれるなんて初めて」と、かえって喜んでいます。

一度やってみたかった?

バスドライバーのイラスト
ドライバー本人に聞くと、日本人のグループは良く乗せるし、添乗員がレストランで「ビールの方?ワインの方?」と言っているので覚えてしまったし、一度やってみたかったそうです。

確かにドリンク名の後ろに「のかた」を付ければいいだけのことで、言葉として難しくはないでしょう。お客様も「ビアー」がビール、「ワイトワイン」が白ワイン、ビッグ、スモールなどは、わかっているのです。

少し慣れてくれば、添乗員がいなくても一般的なドリンク注文ぐらいご自身でできる人が多いのです。それにしてもドライバーがお客さまのドリンク注文をとってくれるなんて、初めてでした。嬉しいサプライズはお客様も同じで、かえって喜んでくれています。

ドライバーにお礼を言い、「明日もお願いね」と言ったら、恥ずかしそうに笑っていました。この時のドライバーへのチップは会社の規定にプラスして、ポケットマネーから増額したことは言うまでもありません。楽しい思い出をありがとう。

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