新幹線の中で
ひとり参加の女性のお客様が、「私、京都通ですから!」と、前置きもなく突然言ってきたのです。私は面食らいましたが「あ、そうなんですね。色々教えていただきたいです。よろしくお願いします。降りるご準備はよろしいですか?」と、流し気味に返事をしました。
私は添乗員だから何もかも知っているという態度はしていませんでしたし、往路の新幹線の中ではそんな話さえするタイミングもありません。なぜ突然の「京都通宣言」だったのか解りませんでした。周りのツアー参加者もビックリしていました。
翌朝起こった信じられない事件
京都市内の観光をし、その日宿泊のホテルにチェックインしました。ホテルの場所が、朝夕は大型車規制のある通りに面していたため、大通りで観光バスを降りて150mくらい歩いてホテルに入りました。この時、「明日も同じ場所でバスに乗ります」と、話しておくことは忘れませんでした。
翌朝フロントで、ツアー参加者のチェックアウトを確認してから、私もバス乗車場所に向かいました。バスで人数確認をしたところ、1名足りません。いないのは「京都通様」でした。チェックアウトはしているので、コンビニにでも行っているのかと思い少し待ってみましたが、なかなか現れません。
この日は琵琶湖の遊覧船に乗るため、特に「遅刻厳禁」と皆様にお願いしてありました。出発時間になるのを待って京都通様の携帯電話に連絡を入れてみました。「集合時間が過ぎていますが、どちらにいらっしゃいますか?」と聞いたら、「それがね、どこかわからなくなっちゃったのよ」との返事でした。
聞けばチェックアウトした後に、ホテル周辺を散歩していたら、自分がどこにいるかわからなくなってしまったそうです。本人もだいぶ焦っている口調です。私は、「とにかく大きい通りに出てタクシーを拾って、○○(バスの場所の目印)まで乗ってきてください。」と伝えました。自分がどこにいるかわからない人に、右とか左と言っても無駄だと思いましたし、更に離れて行ってしまうともっと遅れが生じると考えました。
参加者の反応は?
京都通様を待っている間、他の参加者に事情を話し「迷子になっているそうなので、タクシーを利用するよう、アドバイスしました。もう少し待ってみたいと思います。」と、お詫びをしました。
新幹線での「京都通宣言」のインパクトのおかげで、この時、皆さん誰がいないのか気がついていました。「何だか偉そうなこと言っていたけど、迷子になっちゃったんだ~」と一人の方が言うと、皆さん遠慮がちながら笑っていました。
結局無事、バスに来ていただきましたが、この方のために出発時間が15分遅れてしまいました。バスに乗車する時にも、恥ずかしかったのか、「すみません」の一言もありありませんでしたので、私が皆様にお詫びをしました。このため京都通様には誰も、無事で良かったとか、大変だったねと声をかける人がいませんでした。
遊覧船の会社には連絡を入れて、ギリギリか少し遅れると伝えました。30人ほどの団体だったため、少しなら待っていただけることになり、無事に乗船することがでました。
今でも、なぜ突然の京都通宣言だったのか?通なのになぜ京都で迷ったのか?は不明です。
私の知っている「通の方」は、京都市内なら通りの名前でどの辺りかは、皆わかっています。その近くの寺や有名ホテルの名前をスラスラ言うくらいです。その方は本当に通だったのか、単なるハッタリだったのか、今でも本人に聞いてみたかったです。
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