添乗員がしてはいけないこと

遅刻してきた先輩 

リムジンバスのイラスト
まだ新人だった頃、初めてのエジプトツアーのため空港に着くと、一緒に行く先輩添乗員から連絡がありました。「バスが渋滞で遅れている」と。

「えっ、バスはダメでしょ?」と思いましたが、先輩に向かって言えませんでした。それからは、航空会社にお願いし、1号車、2号車合計約50数人分の搭乗券を出していただきました。先輩のお客様の航空券は、先輩が持っていましたので本当はダメなのですが、事情を話してお願いしたところ便宜を図ってくれました。

受付を始めなければいけない時間になっていましたが、先輩はまだ到着しませんでした。自分の用意したプラカードを掲げて受付を始めようと思いましたが、当然「1号車の受付はまだ?」と質問されそうなので困っていたところ、やっと先輩が到着しました。

空港にバスで行ってはダメなんです

「ありがとう、ごめんね」と謝ってはくれましたが、私は釈然としませんでした。添乗員としての座学研修でも、最もいけないことのひとつが「遅刻」と言われていました。特に空港に行くリムジンバスは、高速道路上を走っている時に、事故渋滞等で身動きができくなる可能性があるため「絶対に」ダメなことのひとつなのです。もちろん、自宅近くの駅に行く路線バスなどはOKです。

チェックインのイラスト
電車でも事故に巻き込まれることはありますが、迂回したり、別ルートにしたりと他の方法を探すことはできます。ですが、高速道路上でバスがもし止まってしまったら、前にも後ろにも行けません。自然渋滞ではなく、事故渋滞だった場合、数時間に及ぶことも考えられます。海外添乗員がチケットを持ったまま空港に来られないなんて最悪ですよね。

先輩はこの時にかぎらず、いつもバスを利用していたようでした。「慣れ」がそうさせるのであれば怖いことだと思いました。お客様と行程に大きな影響がなかったので、私はこの件は会社には報告しませんでした。

バスで行ってもいい場合

朝早い集合で、自宅から公共交通機関では間に合わない場合、旅行会社では空港近くのビジネスホテルに宿泊する「前泊」という方法を許可しています。前日の夕方などに自宅を出て空港に向かうのですが、この場合はリムジンバスもOKですね。

リムジンバスの車内
私の同僚は成田空港には必ず前日に行き、宿泊したホテルで車を駐車させてもらうというサービスを利用しています。これなら、スーツケースを運ぶのもラクでいいですね。羽田空港周辺では地価のためか、さすがに難しいようですね。

私が空港バスを利用するのは、帰りのタイミングです。これなら、遅れても問題ありません。夕食時でお腹が空いている時などは、電車ではおにぎりやサンドイッチは食べられませんが、リムジンバスなら、軽食を食べながら過ごすことができます。

またバスの中なら、精算書の登録や確認、日報の入力なども済ませることができます。家に着くころには終わってる場合がほとんどですので、時間が有効に使えます。また、東京の夜景色を見ながら寛いだり、時には居眠りもできますので、電車より多少金額が高くても利用価値が十分あります。混雑する通勤電車の中では領収書を見たりできませんし、居眠りしていて乗り越したら最悪ですよね。

添乗員がしてはいけないことは、「行き」にバスはダメ、でした。

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