現地ガイドとの攻防
お隣の大きな国の女性ガイドさん同士が喧嘩を始めたり、中米の国のガイドさんの日本語がおぼつかなかったこともありました。何度注意しても私のスキを見ては車内販売を始めるアジアのガイドさん。わからないように目的地への遠回りをしながらお茶を売ろうとする某国のガイドさん。
お客様のことで苦労するなら仕方がありませんが、予想しなかったガイドさんとの攻防は、お客様以上に神経をすり減らすことになります。
迫ってくるガイド氏
私がその国に初めて行ったのは添乗員になって2年目の時のことでした。感心するくらい日本語が上手なガイド氏がわかりやすく丁寧に案内してくれました。
最も感心したのは、ガイド氏にとっては大した負担ではないのか(?)、トイレ代用の小銭をバスの前方の缶に用意してくれてあり「皆さん自由に使ってください」と言ってくれたことです。日本人がストレスに感じる部分をしっかり解消してくれる配慮が素晴らしい方でした。
日本語、案内、心配り。どれをとっても素晴らしく、皆様がすっかりその国のファンになるのに時間はかかりませんでした。私も大変ありがたく思い、感謝の気持ちで過ごしていました。
ツアー中盤の地方都市での夕食後のことでした。「バーで明日の打ち合わせしない?」とガイド氏から声がかかりました。私は、荷物を減らすために1日おきに洗濯をしていたのと、日報を書かなければならないので断りました。元々、まったくの下戸なので、バーに行ったところでコーラかジュースしか飲みません。
翌日もお誘いがありましたが、初めての国で緊張が続き疲れてきていたので、この日もバーに行くことはお断りしました。すると、「じゃ、あなたの部屋でいいじゃない?」との返事。この時、初めて彼が私に求めていることがわかりました。
ガイド氏からのプレゼント
何か雑誌だろうということはわかっていましたが、ツアー後半は疲れがたまり、洗濯や日報書きを終えたらすぐ就寝してしまっていました。
無事ツアーを終えて日本に帰り、スーツケースの中の整理をしていた時に、ガイド氏からもらった包みが出てきました。「そういえば、何だったのだろう?」と開けてみて、ビックリしました。薄めの写真雑誌が3冊出てきました。すべて無修正(当然)のポルノ雑誌だったのです。
ガイド氏は、私がこれを見て”興奮する”のを待っていたのでしょう。「残念でした!」と心の中でガッツポーズを決めてみましたが、同時に大変なことに気付きました。
もし、入国審査後の税関でこれが見つかったら?と考えました。私は税関審査を通る時もスムーズに通れるように添乗員としてのネームプレートを付けています。個人で旅行した時も、税関職員に荷物を開けられたことはありません。
それでも万が一、この時に荷物検査をされたら、「添乗員が無修正のポルノ雑誌を持っていた」と税関審査官に思われてしまうということです。しかも、どこの旅行会社かまでしっかりとわかってしまいます。没収されるだけでなく、大変なひんしゅくを買っていたことでしょう。
「もらったもので、内容は知りませんでした」という言い訳はできるのですが、自分の荷物の中身を把握していないのはもっと問題です。もしこれが薬物だったりしたら即、犯罪になるからです。
後日談として
このガイド氏は、約2年後にツアーのお客様と問題を起こし、仕事を干されたと聞いています。私がされたことは、私だけのことと思い、会社には報告しませんでしたが、私の先輩の時にお客様との間に問題が起きたそうです。このガイド氏が起こした問題は例外と言えますが、気配りのある良いガイドさんだったことは確かで、勿体ないと思いました。
他のガイドさんたちは皆、勉強熱心で優秀ですからご安心を。
コメント
コメントを投稿
コメントありがとうございます!