ホテルのものですけど~
他社のツアーバッジをつけた年配男性が私に話しかけてきました。「これ、もらっていいかな?」「えっ?」他には誰もいません。どう見ても私に話しかけています。
私の服装は添乗中のためジャケットこそ着ていましたが、ホテルスタッフと間違えられる服装ではありません。しかも、バッグとスマホを持って写真を撮ろうとしていたのですから。
この方が欲しかったのは、テーブルの上にある大きな松ぼっくりでした。「私は、ホテルのものですからダメだと思いますけど、ホテルの方に聞いてみたらいかがですか?」と、とまどいながらも答えました。
「ダメかな?いいよね?」「ホテルの人に聞いてください。私はこのホテルのスタッフではないですよ。」ここまで言うと、やっとその方は諦めたようにエレベーターに乗り込んでいきました。
レストランのものですけど
この時、私はあるお客様のことを思い出していました。
私はびっくりして「レストランのものだし、もらうのは無理ですよね」と答えました。それに対する、お客様の答えは私の想像をはるかに超えていました。「なぜダメなの?」でした。
「買いたいという交渉ならしてみますが」「え~、どうしてもらえないのかしら?」「。。。」返す言葉がありませんでした。
その後私がしたことは、「ではレストランの人に聞いてきますね」と返事をして、席から少し離れた、厨房の入口にいるスタッフと話をしました。
「お皿がステキで気に入ったみたいで、欲しいって言われて困っているんだよね~」などと2,3分世間話をしただけで、交渉は一切しませんでした。もちろん、レストランスタッフも、私の話に目を見開いてビックリして苦笑いしていました。
席に戻ってから「お客様、残念ですがやはりさし上げられないし、売ることもしていないということでした」と返事をしました。
「どうしてもらえないのかしら?不親切なレストランね~」と、まだ言っています。その方が、行きつけのレストランでお皿をもらったことがあるのかもしれません。でも、初めて行った外国のレストランで、お皿をタダでもらえるという発想はどこから来るのでしょう?
レストランの在庫一掃セール
数年後カナダ在住時に、ある有名レストランでお皿を入れ替えるため、店の外で在庫一斉セールをしているのを見ました。それまで店で使っていた見たことのあるデザインでした。ただ捨てるのは勿体ないということでかなり安く販売していました。買っている人も、店の思い出と共に喜んで買っており、こんなステキな方法があるということを知りました。
あの時のお客様に、この話ができていたらよかったのに、と残念でした。新人の時でなく、今の私だったらもっと良い対応ができたでしょうか?
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