認知症のお客様に

やってはいけないこと

電話する年配女性
あるツアーの深夜、ご夫婦で参加している70歳代の奥様から電話がかかってきました。「昼間の買い物で、お釣りをごまかされたのよ~」と始まりました。

状況を確認すると、「80ドルだったので、100ドル札で払ったら、お釣りが10ドル札2枚しか戻ってこなかった」と言うのです。
もう一度言っていただけますか?と、確認しました。言っているうちに自身の間違いに気付いてくれるかと思いましたが、同じでした。

眠かったのですが、一気に目が覚めました。「これは認知症?!」と思いました。認知症は色々な症状があるけれど、初期には数字から症状が始まることが多いと聞いていました。

「認知症の人にやってはいけないことは否定すること」と、あるテレビ番組で見て知りました。その知識が、役立つ日が来てしまうとは思いませんでした。

じっくりゆっくり

お客様がごまかされたと思っているお釣りは、話を聞く限りはお客様の間違いです。でも、「お釣りは合ってますよ。あなたの間違いですよ」なんて決して言ってはいけないと思いました。

困っている女性
聞けばご主人は横で寝ているとのこと。「ご心配でしょうが、深夜ですからもうお休みになって下さいね。明日の朝またゆっくりお話し聞かせていただきますね。朝になったら、ご主人にも、話してみて下さいね」とゆっくりと優しく言って電話を切りました。

翌朝、ご主人だけの時に昨夜の話をしてみましたが、ご主人には何の話もなかったとのことでした。忘れてしまったのか、自分の間違いに気づいたのかは定かではありませんでした。

ご主人は、奥様が認知症と感じたことは今まではなかったとのことでしたが、環境が変わる旅行中に発症することはあり得るのです。ご主人には、帰国後も注意深く見守っていただくこと、間違ったことを言っても否定せず、話をしっかり聞いてあげてほしいことをお話ししました。

コメント