パスポートを失くした人々➂ミッキーマウスと共に

早朝の電話から

電話
嵐のような一日は、早朝(深夜)の電話から始まりました。お客様から「パスポートがないんです。どうしましょう!!」と。

前日はカリブ海クルーズの船を下船後、1日ディズニーワールドで過ごしました。今日は帰国日です。

オーランド空港から早朝の国内線で出発し、西海岸の空港から日本帰国便に乗り継ぐ予定です。お客様の電話は、4時のモーニングコールから、10分ほどしてからかかってきました。出発までは30分を切っていました。急いで身支度をし、お客様の部屋に行きましたが、まだ見つからないとのこと。

シーツをはがして

前日にディズニーワールドで買い物した時には持っていたというのですが、その後の行方が本人もはっきりしません。

ホテルの部屋のイラスト
お客様には、荷物の中から探していただき、私は部屋の中を探しました。とにかく空港に行かないと、全員で乗り遅れることになるので、部屋の中にないということは確認してから行こうと思いました。

ベッドの下はもちろん、シーツをはがし、家具を動かして後ろのすき間も確認しました。「ホテルの部屋にパスポートがない」ということを確認し、空港に向かいました。

アシスタントもいません

こんな時にかぎって、空港でお手伝いいただくアシスタントが今日はついていませんでした。現地のオフィスに電話をしましたが、早朝で誰も出ません。

国内線のチェックイン時にスタッフにお願いしたのは、「言葉がわからない人を、ひとりで置いていけないので、次の空港までは国内線に乗せてほしい」ということです。本来は身分証明書がない人は乗れないのですが、日本人の団体ツアーということで許可をいただくことができました。

このやり取りの間も、お客様はスーツケースをひっくり返して荷物の再点検をしています。
「何でこんなところに?!というところから見つかるものです。絶対入れていないと思うところも探してください」と声をかけ続けましたが見つかりません。
困っている年配女性のイラスト

次の仕事は

次に私がしなければいけないことは、乗り継ぎの空港でスタッフに迎えに来ていただくよう、連絡をすることでした。

国内線は乗せていただきましたが、国際線は無理なので、現地スタッフに預けていくしかありません。東海岸で早朝ですから、4時間の時差がある西海岸はまさに夜中です。やはり電話はつながりませんでした。

バタバタした中で、メッセージを残しておいたオーランドのスタッフから連絡が入りました。急いで事情を話し、次の空港でスタッフを待機させてもらえるよう依頼しました。

乗り継ぎ空港で

国内線で乗り継ぎ空港に到着すると、日本人のスタッフが出迎えてくれました。すると、パスポートを失くしたお客様が、私の腕をギュッと掴んでいることに気付きました。「置いていかれる」という不安からでしょうか?痛いくらいに捕まれていました。

結果としては、一緒に帰ることができました。スタッフが日本のご家族と連絡を取り、成田空港の入管や航空会社とも話をつけておいてくれたのです。この時の事情も細かくは紹介できませんが、「超法規的」な手続き部分もあり、無事帰国に至ったのでした。

ミッキーマウスが持っていました

ミッキーマウスのイラスト
翌日、お客様から電話がかかってきました。パスポートがあったというのです。
ミッキーマウスのぬいぐるみがパスポートを抱えていたそうです。

ディズニーワールドでぬいぐるみを買った時、クレジットカードで支払いましたが、その時に本人確認のためにパスポートを見せたそうです。その時に、何気なくミッキーマウスの入った袋にパスポートを入れてしまい、無意識だったので忘れていたそうです。

現地でパスポートを探していた時も、「ぬいぐるみの入った袋」として、中を確認しなかったそうです。見つかったとはいえ、すでにそのパスポートは無効扱いになっています。

この話を聞いて、私はすっかり「脱力」してしまいました。嵐のような1日を、疲労困憊した1日を、ミッキーマウスが癒してくれるとは。。。そして昨日、ギュッと掴まれていたため、私の腕にはあざができていました。

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