トイレの神様

可睡斎の名前の由来

可睡斎は1401年に開山された曹洞宗の寺院です。元は東陽軒という名前で親しまれていました。

11代住職・仙隣等膳の時、今川氏の人質となっていた松平竹千代(後の徳川家康)の教育を受け持ったことがありました。後に浜松城主となった家康はその時の恩を忘れず、等膳和尚を城に招きました。

ところが道中の疲れもあり、家康が当時を懐かしむ話をしている最中に、和尚は居眠りをしてしまいました。なんと無礼な!といきり立つ家来を家康は押し留め、「和尚我を見ること愛児の如し。故に安心して眠る。われその親密の情を喜ぶ。和尚、眠るべし(可睡)」と言いました。その逸話が広まり、和尚はその後「可睡和尚」と呼ばれるようになり、寺の名前も可睡斎が定着してしまいました。

トイレが有名

可睡斎というお寺には、昭和12年に完成した、日本一の大東司(とうす)と謳われる男女兼用の水洗トイレがあります。当時、水洗トイレは大変珍しかったので、このトイレを見るために大勢の人が押し寄せたと言われます。

写真では見えずらいですが、男性用の小便器の他に、反対側の壁際には10ほどの個室があります。今では一部、洋式の便器も設置されています。

このすぐ近くに、大変新しい最新の設備のトイレもありますが、せっかくなのでとここのトイレを使う方も多くいます。そうです、ここはいまだに現役で使用できるトイレなのです。

よく見ると、外国を思わせる建築です。天井は網天井、ドーム型の天井からはモダンな照明が下がっています。床はピカピカに磨かれて光を反射させています。

水がたたえられた緑色の大きな水盤が、この不思議な雰囲気のアクセントになっています。

トイレの神様

このトイレの中央には、烏芻沙摩明王像(うすさまみょうおう)が立っています。高村晴雲の作です。

古代インド神話においてアグニと呼ばれた炎の神で、聖なる炎によって煩悩や欲望を焼き尽くすと言われています。

また、清浄なる自己に目覚めさせる徳を持つと言われ、禅宗では東司の仏様として祀られています。

ずいぶん前に「トイレの神様」という曲が流行りましたが、本家本元のトイレの神様がここにいました。

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