ステキなお客様⑤ドライバーのランチタイム

ツアー中の落ち着かない食事 

海外旅行中の食事は皆様にとって、観光と共に大変楽しみなものですね。実は場所やレストランによっては、添乗員にとってプレッシャーのかかる場面でもあります。

当然のことですが、レストランはお客様優先で食事を出します。添乗員やドライバーに食事が出てくるのが後回しになることが多いのです。ドライバーの食事をササっと出してくれる、気が利く（わかっている）レストランもたまにはありますが。。。

やっと私たちに食事が出てきたと思ったら、お客様が食事を終えてバスの周りでウロウロし始めるのです。「出発は何時ですか？」「バスに乗っていていいですか？」と聞きに来る人までいます。落ち着いて食べることができません。

私はいいとしても、安全運転をしてくれているドライバーさんの休憩時間やランチタイムを大切にしたいので、そういった状況が残念でなりません。

お願いしてみました

バス移動が長いニュージーランドのツアーの時に、思い切ってお願いしてみました。

「ドライバーさんも、皆様のツアーの仲間です。日本のように雇っているからお客様が上という考えは、海外にはありません。長く運転していただくので、休憩時間はしっかりとれるようにご協力ください」と。

ステキなお客様ばかりのツアーでした。なぜかバスの中で拍手が湧きました。

そのツアーでは、皆様がゆっくりと食事を食べながら歓談する様子が毎日見られました。自分たちが食べ終わっても、周りの方と歓談しながら、ドライバーさんが食べ終わるのをゆっくり待って下さったので、お客様同士がいつもより交流が盛んでした。ドライバーさんに話しかける人がいつもより多く、本当に和気あいあいのツアーとなりました。

ドライバーさんにも喜ばれました

ツアー中、和やかな雰囲気でドライバーさんとお客様の交流も盛んだったせいか、ドライバーさんがいつも以上に親切で、色々な景色の良い所でバスを止めて写真タイムを取ってくれました。そのため、余計にツアーが盛り上がったのでした。

バスを背景にドライバーさんと一緒に全員が写真を撮りました。そのたびにに私は大忙しでしたが、嬉しい悲鳴とはこのことでした。

最後に空港で別れる時は全員がドライバーさんとハグしてお別れしました。涙を流して別れを惜しむ方もありました。外国人とハグしたのは初めてという方が多く、それも思い出になったと喜んでいただけました。

ステキなお客様に囲まれて、楽しくツアーができました。添乗員冥利に尽きる、思い出のツアーです。