とんでもお客様③ふところからウィスキー

添乗中のおもしろかったこと、感動したこと、ビックリした話を時折友人たちにしていました。面白いからブログにも書いたら?と提案されました。そこで今後は「とんでもお客様」と「ステキなお客様」シリーズとして記事をアップしていこうと思います。

お客様の指名を断ったことがあります 

バス旅行のイラスト
ある時、「お客様からのあなたに添乗員の指名がきているので、〇〇ツアーに行ってください」と会社から依頼がありました。

有難いことです。本来なら私の立場で断るのは失礼な話なのかもしれません。

しかし、リクエストをしていただいたお客様の名前を聞いてお断りしました。「イヤだから」という理由にはできないので、「その期間に予定がある」ということにしていただきました。
私が半年以上前にご一緒したそのお客様の名前をよく憶えていて、指名をお断りしたのには、ある理由がありました。

なぜ覚えていたのか?

レストランのイラスト
そのお客様の名前をよく憶えていたのには理由がありました。その理由を考えると、なぜ指名をしていただいたのか不思議でした。

ある海外ツアーにそのお客様はおひとりで参加されていました。ホテルのレストランでスタッフが私のところにやって来て、「あの人が、ジャケットの内側からお酒を注いで飲んでいるから、注意してほしい」と言われました。

物価の高い国でしたので、お酒1杯頼んでも安い値段ではありませんでした。そのお客様は、ミネラルウォーターを注文したはずでした。お客様の前にはミネラルウォーターが入ったグラスが置かれています。

さりげなく様子を見てみると、確かに時折ジャケットの内側から小瓶を出して水の入ったグラスに少しづつ注いでいて、水が変色するのがわかりました。隣の席の方も気付いているようです。

レストランで食事をする人たちのイラスト
私はそっと彼の背後に回り「あの~、飲むのは注文したお水だけにして下さいね。スタッフの方にバレていますよ」と囁きました。「あっ、ゴメンゴメン。ついね~。」というのがお客様の返事でした。

なぜ指名を?

それ以降、そのお客様が同じことを繰り返すことはなく、無事にツアーは終わりました。
私は会社に提出する日報のお客様情報に、お客様のしたことを記述し「今後も要注意」としました。

なぜその方が、バツの悪い思いをした時の添乗員である私を指名してきたのか?不思議でした。嫌われていなかったことはありがたいのですが、私自身がその方との再会を素直に喜ぶ気持ちになれませんでした。

今でも不思議な気持ちになる思い出です。

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