お盆のミステリー

お盆の仏壇飾り

会ったことのない祖父 

母方の祖父は私が生まれる前に亡くなっていたので、実際に会ったことはありません。写真でしか知らない祖父ですが、母や叔母の話によると、お酒好きで楽しい人だったそうです。

私がまだ小学生だった時のこと。夏休みになると毎年、隣の市にある祖母の家に遊びに行っていました。

まだまだ昔の風習が残る地域でした。お盆の入りには迎え火を焚いてお墓に行き、飾りつけをした仏壇にまんじゅうやスイカを供えていました。このような一連の行事も懐かしい思い出です。

「おじいちゃんが帰ってきているんだよ」と祖母に言われましたが、子供心に「ふーん、そうなんだぁ」と軽く受け流していたように記憶しています。

事件が起きました

ある朝、叔母や母が仏壇の前で騒いでいました。どうしたのかと尋ねると、仏壇に供えておいたビール瓶の中身がカラになっているというのです。

瓶ビールのイラスト
可哀そうに、早速疑われたのは当時中学生だった従兄でした。しかしどんなに確認しても、瓶の蓋にまったくの変化がないのです。栓抜きで開けても、何か他の力で開けても、何らかの形跡が残ってしまいます。瓶の蓋にまったく形跡を残さず、開けて閉じるのはかなり難しい作業のように感じます。

前夜は親戚が集まり大人たちにはビールが振舞われましたが、何本飲んだかなんて誰も気にしていません。ケースで買ってあるビールが1本多くカラになったからと言って、犯人捜しをすることもありません。わざわざ従兄が苦労してビールを盗み飲みする理由がないのでした。

祖父の仕業?

皆で出した結論は「おじいちゃんだね~」でした。私にとっては会ったことのない祖父、お酒好きだったという祖父。もうひとつ、面白いことが大好きだったそうです。
きっと、私たちを楽しませるためにちょっとした「いたずら心」を発揮したのでしょう。

私が今までに経験した唯一不思議な体験でした。

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