日本語を使わなかった日々

日本人同士でも

私がカナダに住んでいた時のことです。ホームステイがしたくなり、いくつかの家をまわって景色の良い、ホストマザーがお料理上手な家を見つけました。

ホストマザーは未亡人で、家庭教師をしている息子さんがひとりいましたが、その息子さんは生活時間が違うのか?あまり家にはいないのか?数日に1回見かける程度でした。

その家にはもうひとり20歳位の日本人女性の学生さんがホームステイしていました。すでに英語学校に1年通い終わり、その頃は専門学校に通い始めていました。

最初に挨拶をした時に、彼女から提案がありました。「英語の勉強のためカナダにいるので、日本語で話すのはナシにしましょう」と。(ここまでも全部英語です)彼女は両親に大きな負担をかけて留学していることを大変ありがたく考えている、若いのにしっかりした女性でした。

私は添乗員としてすでに仕事を始めていました。業務的な英語で困ることはなかったのですが、海外生活をしながらの日常会話の経験は少なかったので、ホームステイ先で日本語で話したくないと思っていました。
実はそこにホームステイする前に、スリランカ人の女性とシェアハウスをしていたのですが、あとからそのスリランカ人の女性が日本語を話せることがわかりました。せっかくなので、日本語を話さないでとお願いしました。もちろん今回も相手の意見に大賛成でした。

実際はどんな感じ?

ホストマザーがいる時はもちろんのこと、朝食や夕食が2人だけの時も、2人だけでテレビを見ている時も会話はすべて英語でした。政治や経済の難しい話をするわけではありませんから、何とかなります。彼女の専門学校で出された旅行関係の宿題を手伝ってあげたこともあります。

ホストマザーにはあらかじめ2人で決めたことを話してあったので、「それは良いことね」と言いつつも、いつまで続くのか疑っていたと後から言われました。
そんな日々を送っているうちに、とうとう初めて日本語で話をする日が来てしまいました。

日本語解禁!!

ある時私が旅行会社関係の友人のもとに遊びに行くことになりました。バスで3時間ほどのリゾート地です。誘ってみたら行きたいとのことでしたので、友人に許可を取り、一緒に出かけました。往路の3時間のバスの移動中も英語です。

友人の家に着くと、日本人のスタッフたちがが共有している家のため、日本語の世界に入りました。

私は「一緒の家でホームステイしている○○さんです」と彼女を紹介しました。「よろしくお願いします」と彼女もご挨拶。これがお互いの日本語を聞いた最初になりました。何だかとっても照れくさかったことを思い出します。

2泊滞在し、帰りのバスの中ではまた2人で英語の世界に戻りました。
私は仕事のため、他の土地に移らなければいけなかったため、ホームステイしていたのは2か月足らずでした。しかしその間の濃密な英語生活が今でも楽しかったな~と忘れることができません。

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