ロンドン・パリのフリータイム
私は絵を見るのが好きなので、もし初めての滞在だったら絶対に美術館に行きます。また、ロンドンでは、夜はミュージカルを見に行くでしょう。
パリなら、おしゃれなカフェで過ぎゆく人を眺めて過ごすのも良いですよね。ワクワクします。
実際にプライベートでパリに行った時も、添乗で何度も行ったルーブル美術館にまた行ってしまいました。
なぜ?
添乗だと、見る作品が大体同じだからです。入場してミロのビーナス、ダ・ヴィンチなどのイタリア絵画、モナ・リザ、民衆を導く自由の女神、ナポレオンの戴冠、サモトラケのニケ、etc。大体毎回このコースです。途中の作品まで今だに目に浮かびます。
プライベートでは、ほぼ1日ルーブルでした。芸術鑑賞というよりも、歩け歩け大会です。いつものエリアと違う、例えばオランダ絵画などの場所まで行き、フェルメールを見たりしながら普段の消化不良を解消するのです。
何をすればいいの?
例えば、最初からツアー中にフリータイムがあることがわかっている場合、出発前からどこに行こうか?何をしようか?考えるのも楽しみですよね。
多少言葉が不安でも、ロンドンやパリの町を自分で歩き回ることはたいへん魅力的。。。と最初は思っていました。
そう信じていた私が、添乗員になって一番のカルチャーショックはこのカン違いでした。
ロンドンとパリでフリータイムがあることがわかって参加しているのに、参加メンバー全員がノープランだったのです。
観光バスで町の観光をしながら、現地ガイドさんに翌日のフリータイムに役立つ情報も織り交ぜて話していただきました。ホテル到着後も、ガイドさんに残っていただき、市内の地図を広げて1時間近く参考になる話をしていただきました。
「不安だから案内して」と言われたとしても、ある程度希望を反映した場所にしようと思っていました。
私と現地ガイドさんの必死のアドバイスも虚しく、最後にお客様から言われた言葉が驚愕でした。「結局、何をすればいいの?」と。
何度も「何をしたいですか?」と聞言いましたが、添乗員さんが連れて行ってくれるんでしょ?と言うばかり。
連れて行くのはよいのです。せっかくだから、行きたい場所、したいことを知りたいのです。そう聞いても、「どこでもいいよ」と投げやりです。
ベタなコースに
ナショナルギャラリーの前はトラファルガー広場です。ピカデリーサーカスまでは歩いてすぐですし、ピカデリーサーカスからはリージェント通りでのショッピングにそのまま行けます。
ある一定のエリアで大きな不満が出ないようにするため、ベタベタな選択をしたのです。
ナショナルギャラリーでは日本語の館内案内があります。ゴッホ、ルノワール、ビュッフェ、ダ・ヴィンチ。。。日本語で書いてあります。「どうぞ興味のある所を見に行って下さい」と言いましたが、誰もその場を動きません。返ってきた言葉は「連れて行ってくれないの?」でした。「もう連れてきましたけど~」と言いそうになりました。
「ひとりでカフェでお茶」はあきらめて、日本人に馴染みのあるヨーロッパ絵画のエリアを解説しながら回りました。お礼の言葉ひとつ言う人はいませんでした。当然だから?
私の最大のカルチャーショック
カルチャーショックと残念な気持ちを集約すると「なぜ?なぜ?」でした。
この時の10名様は、なぜたくさんのコースの中で終日フリータイムがあるコースをわざわざ選んだのでしょう?ツアーはフリータイムがないコースの方が多いのです。
選んだのなら事前に調べておくとか、○○に連れて行ってほしいという希望をなぜ言えないのでしょうか。
たまに、お客様から「カルチャーショックを受けたことはありますか?」と言う質問があります。多くの国を見てきましたが、ある程度想定内のビックリはありました。
想定外を大きく上回ったカルチャーショックと言えば、いつもこの時のことを思い出します。でも、お客様にこの話はできませんよね。
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