日本人の質問⑯秘密の誕生日

旅行中の誕生祝い

誕生日のイメージイラスト
旅行中に誕生日を迎える人がいたとします。
10年位前なら、ディナーの時にサプライズ的にちょっとしたプレゼントをお渡ししたり、レストランにケーキをお願いして、参加の皆様と一緒に「ハッピー・バースディ・トゥ・ユー」を歌ったものです。(コロナ禍で、今は皆で歌えませんね)

最近は、いきなりそんなことをしたら、喜ぶどころか嫌がる方の方が多くなりました。場合によってはクレームになりかねません。

誕生日という「個人情報」を勝手に開示することになるというのがひとつ。もう一つの理由は、日本人ならでは?と思わせる理由です。

「誕生日です」と発表すると、「で、いくつになの?」という質問を発する参加者(90%が年配男性)が必ずいることです。「若さ」が何よりの価値観という日本的傾向があるせいか、主役が最も「答えたくない」話題になってしまうのです。楽しい気分が台無しです。

出発前に確認します

ツアー出発前の打ち合わせでは、参加者名簿で誕生日を必ず確認しています。サプライズはしないので、出発前のご挨拶の電話の会話で「ツアー中お誕生日ですね」と言ってみます。

すると、「そうなんです」と嬉しそうに答えて下さる方には、「お祝いしましょうか?」と振ってみます。
反対に返事が芳しくない時や、「サプライズしないでね」とはっきり言うお客様もあります。そういう時は「おめでとうございます」とだけ言って、電話を切ります。
それでも誕生日であることに気付いているのに、何もしないことに後ろめたさを感じてしまいますので、いろいろ工夫をしています。

内緒のジェスチャー
お祝いの方法

ツアー中誕生日を迎えるお客様がいる場合、海外ツアーではそれなりに経費が使えるのですが、国内ツアーではプレゼント代などの経費はありません。

それでも、お祝いをして喜んでいただきたいので、ホテルや、レストランに聞いてみます。
レストランでは、ワンドリンクサービスやデザートにメッセージやロウソクを乗せて持ってきてくれるところが多いです。旅館では、部屋に記念品(小さなクッキーなど)やメッセージカードを置いてくれるところが多いです。

ほとんどの場合、このような対応をしていただけるので、添乗員自らプレゼントを用意することは少ないのですが、まれに経費の関係で、ホテルやレストランでも「特にそういったサービスはしておりません」と言われてしまうこともあります。

その対策として、普段から旅館にある、持ち帰りできるアメニティをいただいています。写真のような素敵な巾着が部屋のアメニティとして置いてある場合、必ず使用せずに持って帰ります。

巾着袋の写真
それを誕生日のプレゼントが用意できない場合に、お渡ししています。滞在先で、大浴場に行く時や食事会場に行く時の小物入れとして便利に使っていただけます。
旅館に置いてある、湯上り用の足袋型靴下も使用せずに持ち帰ることがほとんどです。
全ての旅館で用意されているわけではないので、寒い時期などには足の冷えを予防できますから、大変喜んでいただけます。

お祝いしてほしそうな方には皆様の前で、そうでない方には、お部屋に入った時などに、他の方にはわからないようにお渡しに伺います。

むなしい時もあります

いろいろ工夫しているつもりなのですが、プレゼントをもらっても「当たり前」と考えているのか、「あ、ありがと」程度の方が実は多いです。「嬉しいわぁ~」程度は言っていただけると、こちらもやりがいがあるのですが。。。

ツアーの最後にアンケートを書いていただくのですが、私が自分で用意した誕生日プレゼントを渡した方だけが、添乗員評価が「普通」だったことがあります。他の方は全員「満足」だったのに。。。なんだか淋しく、むなしい気持ちになってしまいました。

リアクションを強制することもできませんので、最後は自分の添乗員としての自己満足と思うようにしています。

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