幸せな時間は、儚い
今回も、物々しいほどのカメラとマイクの数でした。この舞台もシネマ歌舞伎になるのでしょうか?
考えたくはありませんが、10年後、15年後のことはわかりませんから、しっかり記録を取っておいてほしいです。
片岡仁左衛門、坂東玉三郎の2人と同時代の日本に生まれたことだけで私は幸せ者です。
原作は明治の文豪・森鴎外
子供が生まれて幸せいっぱいの若夫婦がありました。妻・るんの弟が喧嘩で負傷し、代わりに夫・伊織が1年の京都勤めをすることになります。短い期間なので単身赴任です。
伊織は京都でたいそう気に入った刀を見つけ購入しますが、借金した相手と諍いになり、切りつけてしまいます。このため、今で言うところの軟禁状態で越前藩にお預けとなり、江戸へ帰ることができなくなりました。
尊い時間
離れ離れになる前の伊織とるん夫妻の会話や仕草、見つめ合う目と目、どれをとっても美しく、自然と笑みがこぼれてしまいます。この先の二人の運命を知りつつも、幸せな時間が流れます。
初共演から半世紀以上経ち、名コンビと「超」の付く人気を謳われた二人の息の合った芝居が場内を魅了します。
37年ぶりの再会の場面。お互いにすぐにわからず、他人行儀に挨拶してしまう場面も楽しいです。その人の癖を見て、相手を夫と認識するところは「伏線回収」の楽しみを私たちに与えてくれました。
再会した幸せはもちろんですが、失われた37年が帰ってこないということを改めて感じます。あのままだったら、ずっと幸せだったのに。。。毎年一緒に桜を見ることができたのに。。。
失われたものは
芝居ですから、再会もできました。今、世界中で再会できなくなるであろう悲劇がたくさんあることを改めて悲しく思います。
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