コロナ以前の日本人のソーシャル・ディスタンス

満員電車のイラスト

カナダで一番驚いたこと

現在のようにコロナウィルスが蔓延するより前の話です。

カナダのバンクーバーで朝、郊外からダウンタウンに向かう電車に乗ろうとした時の事。

前に並んでいた2人の若い男性がなぜか乗ろうとしなかったので、私は2人を追い越して乗車しました。

座席は埋まっており、立っている人もいましたが、日本のように周りの人に触れてしまうような混み方ではなく、比べ物にならないくらい「すいて」いました。

ドアが閉まる直前に聞こえてきた二人の会話は、「Too crowded」(すごく混んでいる)でした。思わず耳を疑いました。

添乗員として頻繁に海外に行くようになり、ソーシャルディスタンスという言葉を知りました。しかし、実感したのはバンクーバーでの体験が初めてでした。
友人同士が手をつないだり、肩を組んで歩くという国もありますが、多くは日本より他の人との距離をとり、むやみに触れたりしないのです。

機内でドリンクサービスをするCA

日本人のディスタンス感覚

ある日、フライト中に通路で腰の辺りを触られることが多いと気づきました。タイミングによっては、完全にヒップを触られることもあります。

「すみません」と聞こえるので、触らなくても呼ばれていることは判ります。座った状態で立っている人を呼び止めようとして、手の位置が丁度腰の辺りになるようです。

私が黒系のジャケットを着ているのことが多いので、CAさんと間違えるのでしょう。ドリンクが欲しいとか、機内食を下げてほしいなどと声がかかります。

それにしても。。。触らないでほしいです。特に中年以上の男性の方々が多いです。わざとでないとすれば無神経過ぎます。若い男性は触ってきません。女性が触ってきても気にしませんが、「触らなくても聞こえますよ!」と何度言いかけたことでしょう。

きっとこの程度では苦情を言えない日本のCAさんに深く同情します。外国人のCAさんだったら「Don’t touch!」とハッキリ言えそうですが。。。

またある時、成田空港の両替所でのこと。
私が両替窓口で、ドル紙幣の枚数の確認をしていた時でした。ふと気づくと、私の肩の横から、年配の女性が私の手元を覗いていたのです。体は密着寸前。ドル紙幣はまだ手にあり、ハンドバッグの口も閉めていませんでした。

「早くして!」という意味だろうとは思いましたが、真横に来たうえに、覗きこんでいたことに大変びっくりしました。
小柄な日本人の年配女性だったのでびっくりで済みました。これが男性だったら大きな声で叫んでしまったかもしれません。その方も、私が日本人女性だからつい近づいたのだろうと想像はできました。

出発階での出来事でしたから、「海外でこんなに近くに寄るとトラブルになりますよ」とアドバイスしました。しかし、不思議そうな顔をしていたので、どこまで理解していただけたかは不明です。

ソーシャルディスタンスという言葉が広まって

ツアー中、これらの話を引き合いに出して、「ソーシャルディスタンス」という言葉についてお客様に話をしてみたことはありますが、「ふーん」程度で反応はいまひとつでした。
お客様に向かって「近寄らないで!」と言っているようで、伝え方も難しかったですね。

コロナのおかげで(?)ソーシャルディスタンスが日本にも根付いたことと思いますが、コロナが終わって以前の日常に戻った時にどうなるでしょうか?

何はともあれ、ソーシャルディスタンスという言葉があるということが広まって良かったように思います。次回、私が同じ話をしたらもう少し反応があるのではないでしょうか?
「日本人同士で細かいことを言うな!」と叱られるかもしれませんね。   

コメント

  1. 以前は、買い物をしておつりを貰うとき、手渡しが普通でした。中には、手を触ってくる人がいました。触ってくるのはすべて女性です。はっきり言って気持ち悪い。今は、トレーでのやりとりなり、助かりました。もっと言うなら、ハグ・握手も苦手です。

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  2. コメントありがとうございます。
    コロナが原因でここ1年半、様々な不自由を強いられていますが、ソーシャルディスタンスという言葉が認識されるようになり、接客業でもある程度距離を取ることができるようになったことは大きな変化ですね。
    日本人の意識改革のきっかけになるといいのですが。

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