風呂敷って、なぜ「風呂」の字が?

上時国家の風呂場

「ふろしき」になぜ「風呂」の字が?

近年、利用する人が少なくなった風呂敷。
デザインや色の多様化、海外からのお客様の影響もあり、人気が復活している風呂敷。

何気なく使っている「ふろしき」という言葉ですが、なぜ「風呂」の字が充てられているのでしょうか?

その回答のひとつが、能登半島の「上時国家」
(かみときくにけ)にあります。

上時国家のアプローチ

上時国家

祖先は800年前に能登に流された、大納言・平時忠(清盛の義弟)と伝わり、現在の当主で25代目。江戸初期からは豪農として300石の大庄屋を務めました。 

現在の巨大な屋敷は、21代当主が170年前に28年の歳月をかけて建造しました。建坪189坪と、近世木造建築では最大級のものです。

上時国家の外観
駐車場からのアプローチの坂が印象的です。

坂を上がった先には、高さが18mの茅葺の大屋根が目に飛び込んできて、私たちを圧倒します。
                    
屋根裏部屋はあるものの、この建物は平屋です。巨大な大屋根を支える梁は周囲2mの松を使っています。

内部は公用部分と私用部分に分けられています。公的な部分では、「縁金折上格天井」の「御前の間」や襖に連なる平家の家紋「丸に揚羽蝶」が見どころです。

展示されている公務用品、千石船用品、日用品に旧家の格式を見ることができます。
いずれも美術品としての価値が高いものばかりです。
上時国家の内部

庭園は背後の山を自然に組み込んだ巧みな池泉回遊式で、国の名勝に指定されています。

アクセス
石川県輪島市にありますが、交通は不便です。自動車やツアーでの訪問がベストです。
金沢市内からは車で2.5~3時間。
有名な白米千枚田から車で15分位です。
輪島市内から30分位です。

入場料・開館時間 
大人 550円
3/15~12/5(冬季は閉館)9:00~17:00

上時国家の庭園
そして、ふろしき

一番上の写真は、上時国家の風呂場です。

昔は高貴な人が風呂に入る時は、裸にならず
風呂専用の着物を着ていました。それが変化し、現代のように外でも着られる「浴衣」になりました。

また、高貴な人が風呂に入る時に直接浴槽に肌が触れるのが恐れ多いということで、浴槽に布を敷いて入ることもあったとか。
風呂に敷いたから「風呂敷」です。毎回、お客様から「お~」と声が上がる説明です。

家ごとに風呂がなかった時代には、脱いだ自分の着物をまとめておくために使ったのが風呂敷という説もあります。

身近な日用品ですが、実際に古い風呂場を見せていただきながらのご案内は印象深いものがありました。

💬
能登半島の先端近く、派手な観光地ではありませんが、機会を作ってぜひお訪ねください。

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